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世界が注目! 「泳ぐ宝石」錦鯉

06/23/17 21:00 (ET)
Image: 世界が注目! 「泳ぐ宝石」錦鯉

 近年、さまざまな日本の文化や伝統が世界で注目を集めています。そんな中、日本で生まれた錦鯉が、いまアメリカで新たなブームを呼んでいます。「泳ぐ宝石」とも呼ばれる錦鯉。今回は、アメリカ人錦鯉愛好家の方々とアメリカで錦鯉を販売するKodama Koi Farm社長の樹神(こだま)太郎さんを取材。新潟県産の錦鯉の美しさをご紹介します。

 ニュージャージー州にある、デブラ・シュールマンさんのご自宅の庭の池で泳ぐのは、デブラさんご自慢の錦鯉。デブラさんは、「錦鯉を見ているのが大好きなの。とても美しいわ。もっと池を広くして、大きな錦鯉を泳がせたいわ。一日中座って、眺めていられるのは、最高のぜいたくよね!」と鑑賞の楽しさを教えてれました。アメリカでは、デブラさんのように鯉を飼うために「Koi Pond」と呼ばれる池を自宅の庭に作る人が増えており、錦鯉が優雅に泳ぐ姿と心地良い水の音に癒やしの効果がある、と人気を博しています。

 デブラさんの家の近所には、「Kodama Koi Garden」があります。ここでは、錦鯉の原産地・新潟県から質の高い鯉を数多くそろえ、アメリカ人愛好家に販売しています。北米では錦鯉の愛好家が増えており、現在では4万人以上いるといわれています。ここ10年で、日本から海外に輸出される観賞用の魚の輸出額は2倍近くになり、その多くが錦鯉と見られています。

062317-1  Kodama Koi Gardenを訪れていたアメリカ人錦鯉愛好家の女性は、「錦鯉がとても好きなの。1999年からKoi Pondを持っているわ」とのこと。また、別のアメリカ人錦鯉愛好家の親子も、「ここの錦鯉は色も形もサイズも全て素晴らしいので驚いているよ。最高の場所だね!」と語ってくれました。

 アメリカで錦鯉の販売をして16年になるKodama Koi Farm社長の樹神さんは、「アメリカに来て以来、錦鯉の写真を撮ってインターネットに掲載し、お客さまに提供していたのですが、写真だけだと本当の鯉の美しさが伝わりにくく、やはり本物を見て欲しいと思うようになりました。元々、新潟の本物の錦鯉を届けたいという気持ちがありましたから」とKodama Koi Farmの始まりを語ってくださいました。新潟県産の質の高い錦鯉を樹神さんが自ら買い付け、ハワイの広大な飼育場で育て、丹念に育てられた錦鯉は、ニュージャージーやフロリダなどの販売所で売られています。

 錦鯉は、江戸時代後期に現在の新潟県長岡市(旧山古志=やまこし=村)を中心とした山の中の集落で発祥したといわれています。それまでの鯉は真鯉といわれる黒い品種だったのですが、ある日 突然変異で 色が付いた鯉が生まれました。それを品種改良したのが錦鯉です。その品種は今では100種類にも及び、中でも最も代表的な品種は「御三家」と呼ばれる「紅白」、「大正三色」、「昭和三色」です。

062317-2 樹神さんが実際に「御三家」の鯉を見せてくださいました。「こちら2匹は紅白という種類になります。赤と白の鯉です。こちらの大きい方が典型的な紅白になります。もう一方は、日本の国旗のような形で、丹頂紅白といい、この品種はすごく人気があります」「こちらは、大正三色と言います。大正時代にできた三つの色の鯉なので、大正三色。黒・墨が比較的小さめ、ぽんぽんと点在しています。また、頭を見ると分かりますが、頭には墨がないんです」「こちらは昭和三色と言います。昭和の特徴はこの頭。頭に墨が乗っていて、その墨が豪快に頭からしっぽに流れているところが大きな特徴です。」

 錦鯉は、模様のバランスや体型・色の鮮明さによって評価され、上質のものは数千万円で取引されることもあります。富裕層の趣味といったイメージもありますが、実は子供の錦鯉は 数十ドルから購入できるため、思ったより手に入れやすいのです。また、錦鯉を飼うには池が必要だと思いがちですが、樹神さんによると、錦鯉は環境に応じて大きさも変わっていくので、水槽で手軽に飼うこともできるそうです。「例えば、大きい池に入れて餌をたくさんあげると鯉は大きくなりますが、池が小さい場合や水槽に入れた場合でも、餌をコントロールして上手に飼うと、盆栽のように、ある程度のサイズを保ちながら楽しむこともできます」

 日本の原風景の中で育まれた錦鯉。その美しさが海を渡り、アメリカでたくさんの人に愛されています。これも日本が世界に誇る伝統芸術ですね。
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