「ウエスト・サイド・ストーリー」や「オペラ座の怪人」などは、日本でもおなじみのミュージカル作品。実はこれらは、演出家ハロルド・プリンスさんが手掛けた作品です。今回は、ブロードウェイミュージカルの歴史そのものとも言えるプリンスさんの人生を舞台化した作品「プリンス・オブ・ブロードウェイ」をご紹介します。
「プリンス・オブ・ブロードウェイ」はブロードウェイの巨匠、ハロルド・プリンスさんの名作のハイライトを一挙に楽しめる贅沢な作品です。ブロードウェイで活躍する9人のアクターたちが、36の名曲を歌い上げます。

プリンスさんは、1928年ニューヨーク生まれ。20代で演劇の世界に入り「エビータ」や「オペラ座の怪人」など、数々のヒット作を世に送り出しました。トニー賞の獲得数は21にも上り、個人としては史上最多の記録です。今やほとんどの作品がブロードウェイミュージカルを代表するものとなっています。
8月24日、「プリンス・オブ・ブロードウェイ」のオープニングイベントが行われ、出演者たちが勢ぞろいしました。今回、89歳ながら演出を手掛けたプリンスさんも出席しました。
「あなたの功績のハイライトとも言える作品ですが、一番思い出のある作品は?」との質問に、プリンスさんは、「一つ選ぶことなんてできないよ。全ての作品が大好きなんだ。この作品を作ることができて光栄だよ」と答えてくれました。

また同作に出演している俳優のトニー・ヤズベックさんは、作品について、「ミュージカルの本格的な歴史の授業のようだね。エンターテインメントが好きな人も満足できるし、同時に作品一つ一つが作られていく当時の雰囲気も味わうことができる」と語りました。俳優のケイリー・アン・ヴォーヒーズさんは、「プリンスさんは新しいものと古いものを上手く合わせることが得意なんです。オリジナルの作品を元にそれぞれ指導してくれるけど、私たち俳優の持ち味も生かしてくれる。こんな素晴らしい経験ができて感謝しきれないわ」とプリンスさんを称えました。
また、60年以上のキャリアを積み重ねたプリンスさんに、ブロードウェイの世界に興味を持ったきっかけをうかがうと、「8歳の時に両親に連れて行ってもらった、オーソン・ウェルズ主演の『ジュリアス・シーザー』を観て、人生を演劇に捧げる決心をしたんだ」と答えてくれました。
実は「プリンス・オブ・ブロードウェイ」は、元々日本で上演されるために作られ、その後ブロードウェイで上演されることになった非常に珍しいケースです。
プロデューサーの吉井久美子さんは、「トライアウト公演を東京と大阪で2年前に行いました。これだけの有名な曲や作品を集めたミュージカルなので、日本のミュージカルファンもたぶんお好きだろうということで。ファンの方はほぼ知っている作品のオンパレードだと思うのですごく楽しいと思いますし、全く知らない方もブロードウェイという文化を知っていただくきっかけになると思います」と語ります。
ブロードウェイのレジェンド、ハロルド・プリンスさんの名作が詰まった「プリンス・オブ・ブロードウェイ」。半世紀に及ぶアメリカ・ミュージカルの歴史を振り返ってみてはいかがですか?
このミュージカルは、10月22日までの期間限定での公演です。
Prince of Broadway
www.broadway.com/shows/prince-broadway