2週にわたって、日本の優れた食品を海外へ展開しようとする日本人の奮闘を紹介します。1回目は、日本のベンチャー企業「ネクストミーツ」です。世界初となる焼肉そっくりの代替肉を開発しました。
代替肉とは大豆などの植物性原料を使い、肉の味や食感を再現して作った食品で、アメリカでは「フェイクミート」として知られています。
ここ数年、環境問題への意識や健康志向の高まりで、肉を食べるのを控えたり、植物性の代替肉に変えてみたりする人が増え続けています。「バーガーキング」や「ウェンディーズ」はすでに代替肉の商品を販売しています。「マクドナルド」も、今年中に「McPlant」という植物性のバーガーを発売すると発表しました。
美味しそうな焼肉に見えますが、本物の肉ではありません。大豆などの植物ベースでできている「ネクストミーツ」の代替肉です。全国に53店舗を展開する焼肉店「焼肉ライク」で提供されていて、革新的な取り組みとして注目されています。

この代替肉を製造、販売しているのが日本の企業「ネクストミーツ」です。ネクストミーツはネクスミーツ・ホールディングスCEOの白井良さん、ネクスミーツ株式会社CEOの佐々木英之さんという、2人の起業家が昨年立ち上げました。
白井さんは2006年から、地球環境を改善するようなビジネスを始めたいと起業家としてこれまでさまざまなベンチャー企業を立ち上げてきました。2017年に代替肉を作ろうと思い立ったと言います。
「地球の持続可能性というところに焦点を当てていて、代替肉で地球の未来を守ると言ってます。工場式の畜産が大量に出すCO2を代替肉によって抑えていこうと、そういった考えから始まったのがきっかけです。もともと自分でビジネスを作ってやっていましたが、食品やフードテック分野はやっていなかったので、初めての挑戦でした」

白井さんは少しでも多くの人に代替肉を広めようと、「焼肉」や「牛丼」など、これまでになかった新しい商品を開発しました。
「植物で作る焼肉というのは、すごい画期的だったんです。今まで粒状の、例えば大豆で作るそぼろとか、そういうのを料理に使うことは結構ありましたが、固まりになった肉をそのまま焼いて食べるみたいなのはあまりなかった。今までなかったんでね。日本食ってやはり世界でも人気がありまして、文化遺産にもなっているくらいですけど、日本コンテンツというものをどんどん出していこうと思いまして、じゃあ牛丼だったり、焼肉だったり。こういうところから肉を代替していけばいいなと」
カルビとハラミ、2種類の焼肉は添加物が一切入っていません。タレがすでに肉に含ませてあり100%植物性です。本物そっくりの焼肉を作るのに、とても苦労したといいます。
「いろんな植物性のタンパク質を使ってはいるんですけど、焼肉に関しては、現状は大豆でして、熱と圧力と、蒸気と水分、この変数を絶妙にコントロールして、特殊な装置で固めていくんですね。細かいことはちょっと言えないんですが、それを経て独自の食感を生み出すことに成功しました。この食感が一番肉を感じる大事なポイントで、これがなかなか再現できなくてですね。何百回も実験を繰り返して失敗をして、3回ほど心が折れて、まあその度に、でもこれは利益のためにやっているんじゃない、これは子供たち、次世代を生きる人たちのための『第一歩』を自分でやろうとしていると考えて、何度失敗しても続けられたのがあります」
そしてネクストミーツは1月、アメリカ市場に上場し、「地球の未来を作る」という夢に向かって一歩を踏み出しました。
「お肉をできる限り代替肉に置き換えていくということをやらなきゃなんですけど、それをやるために一番早いのがアメリカだと思っていました。アメリカのマーケットの場合はですね。ビジネスのプランだったり、アイディアだったりというところで評価がつくんですね。短期間で、会社を大きくすることができる。地球を終わらせないというスローガンのもとその理念をもとに資金を使っていくという意味で世界展開をしていく」
日本人の繊細さが産んだ新たな代替肉。アメリカで今、イノベーションを起こそうとしています。早くて5月、夏までにはオンラインで発売されるそうですよ。代替肉の焼肉、食べてみたいですね。