皆さんは子供のころ、アーケードゲームで遊んだことはありますか? ピンボールやパックマン、テトリスなど昔流行したアーケードゲームが、実は今、アメリカで再びブームになっているんです。
アメリカ発祥の古典的なアーケードゲームといえば、「ピンボール」。傾斜のある盤面の中で、転がって落ちてくる金属のボールを弾き返し、得点を競う遊びです。1931年に誕生し、1970年代まで一世を風靡しましたが、ビデオゲームの台頭により衰退してしまいました。その懐かしいピンボールを楽しめる場所がニューヨークにあるんです。
ここ「モダンピンボールNYC (Modern Pinball NYC)」には1970年代から、今年発売された最新のものまで31台のピンボールがあり、20ドルで一日中遊ぶことができます。
ベス・センチュリアさんに話を聞きました。「モダンピンボールNYCは、ピンボールで遊んだり、学んだりできる場所です。ピンボールは5歳から105歳まで幅広い年齢の人が楽しめます。再び注目されているのは、人々がフラットスクリーンより、実際に触って、動かしたりできる実体験の方が面白いと気付いたからです」
客層は家族連れやピンボールを初めて体験する若い世代も多いといいます。ベスさんに、ピンボールの遊び方を教えてもらいました。
「シューターレーン(右側にあるボールの通り道)からボールを打ち出します。(本体の)横にあるボタンでフリッパー(ボールを打ち返す部分)をコントロールします。フリッパーでボールを打って得点を稼ぎます」
また、この施設はピンボールの仕組みを子供たちに教える、課外授業の場所としても活用されています。本体のカバーを外して内部を見せながら、「この部分はフリッパー、電磁石で動く仕組みです」とベスさんは説明します。また部品を手に取り、「ボタンを押すと電気が流れてフリッパーが動くのよ」と構造を分かりやすく解説します。それに対して子供たちは、「とっても楽しい!」「すごく面白いよ。マシーンもかっこいいしね」との感想。学校の引率者も、「子供たちの中にはピンボールを聞いたこともない子もいました。私は自分が子供のころの遊びを今の子たちに体験させたいんです。携帯で遊ぶんじゃなくてね」
ピンボールが主流だったアーケードゲームですが、1980年代にはビデオゲーム機が最盛期を迎えます。その80〜90年代に流行ったレトロなゲームを、お酒を飲みながら楽しめる「バーケード(Barcade)」が若者の間で人気を呼んでいます。
「バーケード」を立ち上げた、ポール・ケルミジアンさんです。もともとアーケードゲームのコレクターだったポールさんは自宅に置いていたゲームが友人たちの間で大人気だったことから、このアイディアを思い付いたと言います。
「アーケードゲームはアメリカで消えかかっていました。そのゲームを集めてバーに置いたら喜ぶんじゃないかと思ったんです。今はすごくブームになって、皆ゲームを楽しんでいます。アーケードゲームをやったことがない20代のお客さんが多いです。彼らにとっては新鮮でチャレンジングなんです」
アーケードゲームができる場所はニューヨークだけでも110カ所。この店は全米で8店舗展開し、各店におよそ50台のゲームを置いています。ポールさんにおすすめのゲームを紹介していただきました。
「これは『アントイーター(ANTEATER)』という変わったゲームです。アリクイの舌が地下に潜って虫を食べていくんです。『Qバート(Q bert)』も人気のあるゲームです。キャラクターがピラミッドの上を飛び回り、色を変えていきます。こちらは(二人でレバーを押し合って戦う)ナムコの『パニックパーク(PANIC PARK)』です。日本のゲームなので、すべて日本語ですがシンプルなので誰でも理解して遊べます」
ポールさんはあまり知られていない日本のゲームなどを発掘し、お客さんにアーケードゲームの面白さを伝えています。
ゲームを楽しんでいたお客さんは、「相手の反応が目の前で分かるのですごく楽しいです。打ち負かすのはうれしいわ」「私が勝ったのよ」「1ラウンドだけね」と楽しそうに話してくれました。また、「今のゲームはあまり好きじゃないけど、パックマンやピンボールは簡単だから好き」「こういう場所で集まってみんなでゲームをするのは、家で一人でオンラインゲームをするより断然楽しいです」という意見も聞かれました。
日本ではゲームセンターがすごく進化していますが、アメリカでは逆にレトロなものに人気が集まっているんですね。