新型コロナウイルスの影響で、在宅の機会が増え、運動不足で困っているという人も多いのではないでしょうか? そこで今回は、在宅生活で気を付けるべき体調管理について、フィジカルセラピストに教えてもらいました。
お話をうかがったのは、ニューヨーク・マンハッタンにある、フィジカル・セラピー・クリニック「FuncPhysio(ファンクフィジオ)」代表の高田洋平さんです。

長引く在宅生活は、体にどんな影響を及ぼすのかという質問に、高田さんは、「一番懸念されるのは運動不足になることです。その結果、筋力低下体力の低下に繋がって。特に座りっぱなしでいることで、体のいろいろなところを傷めることが多いです」と答えてくれました。
また高齢者は、骨密度の低下や骨粗しょう症になったり、筋力が落ちたりして、つまずいてバランスを失い、転倒する恐れもある、と注意を促します。さらに運動不足になるため、体重が増え、運動を再開するときに、けがにつながる懸念があると言います。
在宅勤務をしている人からの悩み相談が多いと高田さん。「例えばですが、腰痛、ぎっくり腰、首、肩痛、けんしょう炎、そして眼精疲労などが多いですね。その原因なんですけど、腰に負担の掛かる体勢で仕事をしていたりとか、また意外と家にいる環境ですと、時間のメリハリが付かなくて、いつの間にか4時間、5時間、さらには10時間も座りっぱなしということが多いようです。慣れないデスク環境で、いつもと違った体勢で作業をすることからくることが多いと思います。また、オンラインミーティングが続いていると思うので、その結果の眼精疲労も考えられると思います」
在宅となると、リビングルームやダイニングルームで作業をする人も多いと思いますが、そこで気を付けるポイントを聞きました。
「オフィスのイスは高さの調整ができます。ダイニングテーブルでやっている方も多いと思いますが、ダイニングテーブルは高さの調節ができなかったり、アメリカのダイニングのイスは奥行きがあって足が届かないものが多い。そういった環境で作業をしていると、どうしても体に負担が掛かりますし、またソファや地べたに座ってやられる方も多いと思うんですけど、ソファに座って作業をすると、どうしても腰が落ちてしまいますし、首が前のめりになってしまうのことが多いので、首、肩の痛みにつながったり、けがにつながってしまうと思います」
対策として高田さんは、「正しい姿勢で座る」ことが大事だと言います。正しい座り方、体の負担を少なくするサポートの仕方を教えてもらいました。
まず「第一に座骨で座ることが大切」だと言います。「座骨というのはお尻の下に骨があるんですけど、そこでちゃんと座れているか。座った時に手をお尻の下に入れてもらうと骨が感じられると思いますが、それが座骨です。そこにちゃんと座ることが大切になってきます。で、一番大事なのが座骨のちょっと前くらいに座るイメージが良いと思います。骨にドンとのるのではなくて、ちょっと前くらい」
そして、「足は必ず床について、しっかり体重を支えられるようにしてください」とのこと。「もし、イスが上下にアジャストできない場合は、足の下にちょっとした台を置いて、足は必ずしっかりつくようにしてください。肘はできるだけ直角に合わせましょう」
また、座席の奥行きが長い場合、「必ず座席と背もたれの間をしっかり埋めてあげましょう」とアドバイスしてくれました。それには「枕で十分です」とのこと。
「枕を座席の間に入れてあげて、しっかり座席と背中の間を埋めてあげましょう。そしてさらに、もう一つあると、しっかりこのように(おなかの前に持ってきて)使ってもらって、肘を(枕の上に置いて)支えると、肩の力が抜けるんですね。。こうすると肩の重さを枕が支えてくれるので、肩と首のストレスがかなり軽減されるはずです」
そして、同じ体勢で座る時間をなるべく少なくすること。体勢を変えたり、1時間に1回、できるだけエクササイズをするのがいいとのことです。自宅や職場で簡単にできるエクササイズも教えていただきました。
「片手を方の上に伸ばして、反対側の足を横に出します。リズムよく10回、できる人は20回。次は手と足を体の前で合わせていきます。これも10回、リズムよくやっていきます。在宅勤務中のエクササイズで大事だと思うのは、まず簡単にできること。新しいことをわざわざ始める必要はないです。簡単にできて知っている運動をできるだけ頻繁に、継続的にやることが大切になってきます。今度はかかとを後ろで上げて、反対側の手に合わせます。座っていると、前後の動きしかしないので、こうして横の動き、ねじり系の動きを取り入れてあげることが大切です。そして、肘と膝を付けていきます。付かない人は気にしなくていいです」
「最後にですが、けんしょう炎に悩んでいる方が多いです。手のぶらぶら体操しましょう。前でぶらぶら、横でぶらぶら、天井でぶらぶら、1分か2分かのエクササイズです。1時間ごとにやるといいかと思います。目も疲れていると思うので目の運動も忘れないように。指を顔の前に持ってきて近くを見て、そのあとに遠くを見る。これを
5回くらい繰り返すといいと思います」
高田さんは「これからも在宅勤務が続くと思います。家での環境作りがあなたの体に影響を与えるので、今日お伝えした正しい座り方、エクササイズ試してみて下さい!」と呼び掛けました。