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新春インタビューの第1弾 米国ニットータイヤの水谷友重会長

01/10/20 21:00 (ET)
Image: 新春インタビューの第1弾 米国ニットータイヤの水谷友重会長

新春インタビューの第1弾として、米国ニットータイヤの水谷友重(みずたに・ともしげ)会長にお話をうかがいました。

車好きのファンを熱狂させる新しいスタイルのタイヤを次々と開発し、SNSのフォロワーは1000万人を超えで、その数は業界トップ。創立20年、自動車業界を代表する企業へと発展している米国ニットータイヤの会長兼CEOを務めるのが水谷友重さんです。

水谷さんがアメリカに渡ったのは1992年。当時の経営は、販売不振と在庫過多で大赤字、会社は倒産寸前でした。

「当時は、1年以上の在庫を抱え、主な販売店も倒産の危機に瀕しており、非常に厳しい状況でした。それで、何かヒントがないかと思って、全米50州の販売店を回っていろいろヒントを探しました」

「現場にこそヒントがある」。水谷さんは、自ら全米各地のタイヤ販売店を訪ね、現場で働く人たちの率直な意見を聞くことにしました。

「もちろん相手にしてくれない方が大半ですけども、中には熱心に話をしていると心を開いて、お話を聞かせてくれる方がいました。その中で、大手のブランドは非常に確立されていたのですが、クルマ好きの方が非常に不満を抱いていて、『こういうタイヤが欲しい』というのが、かなりあったので、そういうタイヤを作れば、われわれにも勝機があるんじゃないかと、そのように考えました」

そこで水谷さんが目をつけたのは、四輪駆動車で山や砂漠を走るオフロード用のタイヤや、1/4マイルでスピードを競うドラッグレースなどに使用するタイヤです。水谷さんは大きなサイズや斬新な見た目のタイヤなど、車好きの人たちが求めていた、新しいスタイルのタイヤ作りに挑戦しました。

「オフロードに行った時に一番大事なのは、その車の轍(わだち)だということで、轍が非常に重要だとアドバイスをもらいました」

轍が「恐竜の爪」や「炎」などをモチーフにした見た目、そして、激しいレースに対応するための高い操縦性や耐久性も評価され、車マニアの中で大きな支持を受けるようになりました。そして倒産寸前だった会社は、この20年の間に売り上げが100倍以上もアップし、その手腕は高く評価されています。

アメリカでビジネスが順調に進められるは、日系人の方たちによる、今までの苦難や努力のおかげだと水谷さんは感じています。

「戦後、戦前、日系人の方たちが差別と戦って、何もないところから作ったその歴史に敬意を表して、私も日系社会に何か貢献できないかと思って、そういう形でスタートしたのがドキュメンタリーです」

水谷さんが日系コミュニティーへの貢献としてまず取り組んだのが、アメリカ日系社会の先駆者たちを取り上げたドキュメンタリーの制作です。日系移民史を日本やアメリカに住む多くの人に知ってもらうことが目的でした。

そして今、新たに、日系コミュニティーへの貢献として力を入れているのが、子供たちへのSTEM教育の推進です。STEMとは、Science、Technology、Engineering、Mathematics、の頭文字をとった造語です。米国ニットータイヤは、STEMのコマーシャルを制作したり、地元の科学センターのサポートを行なったりして、日系人を含めた地域社会に貢献しています。

「2年前にオレンジカウンティーの社長会に紹介していただいて、社長さんたち全員が、『これからのアメリカの将来を背負うのは若い人たちのSTEM教育だ』と、皆さん熱心に訴えておられて、そして私もこの体験を少しでも日本や日系社会に貢献できればと思って、STEM教育のことを微力ながら始めさせていただければと思いました」

STEM教育では、子供の頃からパソコンでプログラミングをしたり、タブレットに触れたりといった経験をすることで国際社会における「専門性の高い人材」を育てることが目的です。アメリカではおよそ20年前からSTEM教育に力を入れていますが、日本では、まだまだ浸透していないのが現状です。

米国ニットータイヤがサポートをしている体験型の科学センター「ディスカバリーキューブ(Discovery CUBE)」。ここでは、人工衛生を国際宇宙センターにドッキングさせる方法を学んだり、ハリケーンの風力や航空力学を体験しながら学んだりできるなど100を超える展示があり、次世代の科学者の育成にも大きく貢献しています。

ディスカバリーキューブのシニアディレクター、グレイグ・エンバーグさんは「STEMは私たちが日常で使う科学にも関係しています。子供たちがSTEMを学ぶことによって、将来の科学はどうあるべきかなど、意識を構築できると思います。若い頃から学べば学ぶほど、大人になったら、より多くのテクノロジーを発展できると思います」と話してくれました。

会社の経営、そして日系コミュニティーへの貢献と奮闘する水谷さん。最後に2020年の抱負を聞きました。

「去年日本は(ラグビー)ワールドカップで非常に盛り上がりました。その中でジェイミー・ジョセフ・コーチがハイブリッドのチームを作り、大いにリスクをとって素晴らしい成績をあげ、日本中を感動に導きました。わたしも大いに感化され、これからハイブリッドで世界の人たちと力を合わせて、リスクをとって前に進んでいきたいと思います」
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