旅行・食・グルメ

日本人が作るナパワインの魅力:ワインの名産地カリフォルニア ナパバレー「カリフォルニアのワイン王」と呼ばれた日本人

07/05/19 21:00 (ET)
Image: 日本人が作るナパワインの魅力:ワインの名産地カリフォルニア ナパバレー「カリフォルニアのワイン王」と呼ばれた日本人

今日はワインの名産地、カリフォルニア・ナパバレーの話題です。カリフォルニアワインと日本とのつながり、そして究極のワイン作りに挑戦している日本人をご紹介します。

今回はサンフランシスコ在住の現地リポーター、森岡麻紀子さんが、サンフランシスコから車で、北へおよそ1時間のところにあるカリフォルニアワインの一大生産地ナパバレーからお届けします。

なだらかな丘が続くこの地域は、ワイン生産量こそカリフォルニア州全体の5%程度ですが、世界的に有名なワイナリーが数多く点在している場所なんです。ブドウの品種としては、黒ブドウのカベルネ・ソーヴィニヨン、白ブドウではシャルドネの割合が多く、この2品種だけで全体の半分を占めています。

070519_1 「現在、カリフォルニア州には4200件を超える多くのワイナリーがひしめき合っていますが、かつてこの土地で「カリフォルニアのワイン王」と呼ばれた日本人がいたのを皆さんはご存知でしょうか? その人の名は、長澤鼎(ながさわかなえ、1852~1934年)です」

19世紀後半、薩摩藩士だった長澤鼎は1867年、弱冠15歳で渡米し、ブドウ農園で働きながら ワイン醸造を学びます。そして1900年にはカリフォルニア州サンタローザで自分のワイナリーを持ちました。品質向上のため ひたむきに努力した結果、長澤のワインは米国内のワインコンクールで好成績を納め、イギリスに輸出された最初のカリフォルニアワインとなりました。

かつて長澤が所有していた土地は現在、公園になっています。「2007年サンタローザ市によって"長澤コミュニティーパーク"として公園に生まれ変わりました。(長澤さんがワイナリーを開いてから)1世紀以上がたった今、このカリフォルニアで「奇跡のワイン」と呼ばれるワインを作る日本人の方がいます。そのワイナリーが『KENZO ESTATE』です」

070519_2 「KENZO ESTAT」のオーナーは大手ゲーム会社、カプコンの創業者で会長の辻本憲三さんです。辻本さんはナパバレーに470万坪の土地を個人で購入し、畑作りからスタートしてワイナリーを築き上げました。辻本さんが作り出すワインは、カリフォルニアでも最高級クラスのプレミアムワイン。「ナパの奇跡」といわれるほど世界中から高い評価を受けています。

辻本さんにワイン作りについて聞きました。「まず一番大事なのはトップクラスのワインを作ろうということ。そして手に入らないワインじゃなくて、手に入るようにしようと。ここは場所が広いので量がたくさんできますよね。普通のワイナリーはよくできて3万本ぐらい。(われわれは)年間25万本出しているんですよ。それで1年もたないんです。結局半年くらいでなくなります。その80%が空き瓶になるんです。飲んでいただいているんです」

プレミアムワインといわれるものは、1本数万円から高い物では10万円を超えるものまでありますが、辻本さんは買ってから大切に寝かしておくワインではなく、いつでも飲んでもらえる高級ワインを提供したいと考えています。

「飲んでもらうための工夫をいろいろやりました。まずは価格がちょっと手を伸ばしたら飲めるということで、100ドルからちょっと上の価格でやりました。それを半値で出そうということで、半値にするために何をしたかというと、ハーフボトルを半値で出したんですよ」

プレミアムワインには珍しいハーフボトルを作り、値段を半額にすることで、少しでも多くの人に KENZO ESTATEのワインを味わってもらうのが辻本さんの考えでした。現在 KENZO ESTATEで作られているワインは8種類。白と赤、人気の2種類のワインをテイスティングさせていただきました。

テースティングルームのマネージャー、ダグマン玉藻さんはまず、2018年の“Asatsuyu(あさつゆ)”をすすめてくれました。森岡さんの感想は、「アロマの華やかな白ワインですね」とのこと。玉藻さんの次のおすすめは、赤ワイン。「こちらの“Rindo(紫鈴=りんどう)”は、フラッグシップワインになります。アメリカでも日本でも一番流通していているワインになります。大変バランスが取れておりますので、万人に愛される赤ワインではないかと思います」と語ってくれました。「クセがなくて本当に飲みやすいワインです」と森岡さん。

ブドウ畑には、地下から吸い上げたミネラルたっぷりの伏流水を使うのも、この土地ならではの魅力だとおっしゃいます。

辻本さんは、実際にブドウ畑を歩きながら、ブドウの木に水をやるためのパイプの工夫も教えてくれました。パイプは水を落とす場所を調整できるようになっています。

カプコンの会長としても活躍されている辻本さん。ゲームとワインには共通点があるといいます。「ゲームとワインは質、中身が違います。飲むものと見て遊ぶものと。でも両方ともあれば非常に楽しい。そういう世界です。生活の必需品ではないですが、もう必需品は整っているので、プラスαという楽しみの世界がワインとゲームです」

KENZO ESTATEでは、テイスティングのほか、ブドウ畑や醸造所、オーク樽が並ぶケイブを巡るツアーもあります。皆さんも一度訪れてみてはいかがでしょうか?
テレビジャパンCLUBのTOPに戻る

PAGE TOP