ここ最近アメリカでは、大手ファストフード店がこぞってヴィーガンバーガーを発売するなど、野菜中心の食生活を取り入れる人が増えてきているんです。なぜそのように変わってきているのか、そしてどのような食事を食べているのかお伝えします。
今年、9月20日にニューヨークで行なわれた「気候ストライキ」。この中で少し変わったグループに出会いました。
「私たちはミートレスマンデー(Meatless Monday)という非営利団体です。週に1日肉を食べないことが、環境や体に良いと訴えています」
肉食を減らすことがなぜいいのか?
週に1日、肉を食べるのをやめることで、健康のためにもなり、水やエネルギーの節約、CO2の削減にもつながると訴えます。

ミートレスマンデーのディレクター、デーナ・スミスさんに聞きました。「畜産業は運輸産業よりも多くの温室効果ガスを排出しています。私たちが乗る飛行機や車、バスよりも畜産業によって生み出される温室効果ガスの方が多いのです」
意図的に家畜を増やすことで、牛や豚が頻繁に出すゲップに含まれるメタンガスが増える他、飼料として生産する穀物に使われる農薬や肥料からも温室効果ガスが生み出されるといわれています。
例えば世界中の人が週に1日肉を食べるのをやめるだけで、2050年までに温室効果ガスを大幅に減らすことができるそうです。それは年間で2億台以上の車を使わない効果に匹敵するということなんです。
この活動は、多くのシェフやレストラン著名人が賛同し、現在ではさまざまな場所で支持されています。
デーナさんは、「ニューヨーク市内の月曜日の学校給食がベジタリアン食になりました。それに加え、レストランや大学など、コミュニティの核となる場所に協力してもらうことで、月曜日に野菜を食べる習慣が生まれると思います」と話してくれました。
さらに地元のフードトラックと組み、ベジタリアン食がいかに美味しく変わってきているかを広める活動もしています。実際に食べた人たちも、「おいしかった」「これなら肉がなくてもいい」と感想を話してくれました。
ミートレスマンデーのブランドアンバサダーとして活動を行なう医師でシェフのロバート・グラハム先生。野菜中心の食事に切り替えることは体にも大きな影響を与えると言います。
「食事の食べ方を見直すだけで、すべてが変わります。腸内にある微生物は肉中心のアメリカ料理から3日間ヴィーガンの食事に変えると変化します。消化管全体にある腸内微生物が3日で良くなるのです。それらは代謝をはじめ、免疫力、体重、食欲などに良い影響を及ぼします」
食べ方で健康は維持できると、料理に興味を持ち、シェフの資格を取ったグラハム氏。現在では医者や料理人に健康を維持するための食事の指導も行なっています。
「私たちは植物タンパク質中心の食事に切り替えて行く必要があります。ただ野菜に置き換える食事ではなく、美味しくて栄養のある野菜食にね」
しかしベジタリアンやヴィーガン向けの食事は物足りないと思う方も多いのでは? そこで野菜中心でバランスの取れた食事を顧客に提供するヘルスシェフのジュリア・チェボタルさんに美味しいヴィーガン料理、「テンペのボロネーゼ」を作っていただきました。テンペとは、大豆の発酵食品でスーパーなどで簡単に手に入ります。

「材料は、ズッキーニヌードルとハーブ類、マリナラソース。オリーブオイルを入れた鍋で玉ねぎを炒め、塩を入れます。2分ほど炒めたら、テンペとマリナラソース、ハーブを加えます。熱した湯にズッキーニを入れて2分ほどゆでたら水を切ります。お皿に盛りつけてソースをかけたら完成です。肉なしだけどタンパク質たっぷりの栄養満点なヴィーガン料理です」
最後にヴィーガン料理を美味しく作るコツをうかがいました。
ジュリアさんは、「パンチとなる味が必要だと思う。物足りないと思ったら、辛さや酸味を足すといい。ショウガやレモンやオリーブオイルなど風味豊かで野菜の味を引き立ててくれるものがいい」と話してくれました。
このような活動の広まりで、より気軽に美味しいヴィーガン料理を食べられるようになり、その結果、地球に優しく体にもいい野菜中心の食事にシフトする人が増えてきているようです。
スタジオの辛源は「肉を完全に食べないのは難しそうですけど、週に1日だったら僕もやってみたいなと思いました。料理も彩りが豊かで健康に良さそうですね」とコメントしました。
ミートレスマンデーのホームページでもヴィーガン料理のレシピがたくさん載っています。興味を持った方はチェックしてみて下さい。
Meatless Monday
www.meatlessmonday.com