日本では今年は9月16日が「敬老の日」ですが、アメリカでも毎年9月に「National Grandparents Day」があります。皆さんはご存知でしたか。そこで今日の特集では、「日系シニアのための介護サービス」についての情報をお届けします。
アメリカの国勢調査によると、現在アメリカに暮らす日系人の数は130万人といわれています。海外で暮らす私たちにとって、やはり心配なのが、高齢に伴う暮らしの問題ではないでしょうか。今回はカリフォルニアで日系シニアのための介護サービスを行なっている場所、2カ所を訪ね、そのサービスについて伺ってきました。

まず向かったのは、カリフォルニア州サンディエゴで訪問介護サービスを行なっている「げんきホームケア」です。
「げんきホームケア」では、日本人、日系人などに向けた介護士の派遣を行なっており、洗濯や衣類の整理、和食などの料理や外出の付き添いなど、身の回りのサポートを行なっています。
げんきホームケアのアシスタントマネージャー、メイン・亜紀子さんに話を伺いました。
「サービス自体は基本的に医療行為以外のサービス全般を行ないます。内容一つ一つはおそらく他のホームケア・サービスとはあまり変わりないと思うんですけど、やっぱり日本語でのサービスというのが大きいですね。お年寄りの方も、やはりおしゃべりが好きな方もいるのでそういった時に、自分の言語で、自分の言葉で思う通りにお話ができることを純粋に楽しむ方が多いです」
げんきホームケアのサービスは時間制になっており、1時間から利用できます。4時間以上のサービスだと1時間25ドル50セント、4時間未満のサービスになると1時間29ドル50セントが基本料金となっています。夜間や早朝、祝日などの料金は異なります。
「ゲンキとしても、ご自身でできることはなるべくしていただこうと思っています。例えば洗いものはお手伝いするけれど、乾いた食器はご自身で棚に戻していただく、洗濯物をたたむのは一緒にするけれど、クローゼットにしまうのはご自身でとか。介護されているって思わず、日本語でのコミュニケーションだったり、一緒にお料理したりとか、そういったことを楽しんでいただけたらという思いはあります」

続いては、サンディエゴの中心地から、車でおよそ20分のところにある介護施設「オハナ・ケア・ホーム」です。出迎えてくれたのは、このホームを運営する磯聖子さんです。
カリフォルニア州のシニアケアホーム運営・管理の資格を持つ聖子さんは、2年前、ご主人のフランクさんと共に自宅を介護用施設に改築し、「オハナ・ケア・ホーム」としてスタートしました。介護用に整備されたシェアルームと個室が4部屋あり、最大6名を受け入れることができる住宅型介護施設です。自宅にいるような感覚で介護を受けられるのが、「オハナ・ケア・ホーム」の特徴です。料金は1カ月一人4000ドル〜。要介護度、部屋の種類によって値段は異なります。
聖子さんは「アメリカで、『住宅型介護施設(Residential Care Facility)』という、一般の一軒家を改築して、こういう施設にするというのは結構一般的です。自宅をそのまま改築してというパターンは少ないかもしれないですが、たまたま住んでいた家がそういうことができる家だったので、その案でやりました」
オハナ・ケア・ホームでは、和食を中心とした1日3回の食事に、バス・トイレ・着替え洗濯などのサポート。そして家族や友人を招いて、ひな祭りや端午の節句など年間を通して日本のイベントなども行なっています。
聖子さんは、日本人スタッフによる丁寧なサポートがこのホームの大きな魅力だと言います。「今、私と主人以外に5人スタッフがいるんですけど、そのうちの3人は日本人。さらにそのうち2人は日本で正看護師をやっていたので、すごく助かっています。知識も経験もたくさんありますし、きめ細かいですね。すごく気付くところ、先回りして、これやってあげた方がいいとか、これを準備しておいてあげようとか、その辺は文化の違いでしょうね。日本人はすごいなと思います」
オハナ・ケア・ホームでは、緊急時に、夜間も対応できるよう、24時間体制で介護士が勤務しています。
「やはり認知症の方とかは、夜中に起き上がったり、転んだりとか、認知症ではなくても転倒されたりとかの危険があるので、そのあたりは、かなり細かく見ているので、それはうちの強みだと思います」
ベッドのシーツの下にセンサーが入っていて、起き上がって立ち上がろうとすると、センサーが反応して知らせる仕組みで、そうすると介護士がすぐに駆けつけて介護できるようになっています。
この日は、みんなでかき氷作りに挑戦しました。入居者に話を聞きました。「懐かしい味よね。 大昔、日本の村のお祭りなんかにああゆうのをやってたよね。個人のうちでは、ああゆうのを持ってる人はいなかったけど、お祭りなんかでは売ってたのを、よく覚えてる」
聖子さんは、「やはり日本人だからこそ分かり合える部分ってあると思うんです。言葉も文化もそうですし、やはり私も気がつくと助けを求めてるのは日本人の友達という姿があるので。それは皆さん、うちの入居者の方も、お年がいっても同じような形で皆さん生活されているので、精神的な部分で、皆で楽しくやりましょうとは常に言っています」
アメリカ生活が長く、英語環境になじんでいても、年を重ねるごとに日本語を話したくなる方が多いそうです。そういう方たちにとって、このような日系の介護サービスは、とても重要なんだと感じました。
げんきホームケア
genkihomecare.org/ja
オハナ・ケア・ホーム
ohanacarehomesd.com