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新型コロナワクチン接種

02/26/21 22:00 (ET)

全米各地で進んでいる新型コロナのワクチン接種。徐々に受けられる人が多くなってきていますが、今日はそのワクチンを受けるにあたり、知っておきたい最新情報をお伝えします。(2月26日時点の情報です)

お答えいただいたのは、テューレーン大学総合病院の中川裕介さんです。コロナ専門のフロアを設けた病院で勤務をしている中川さん。日系の情報誌「ラスベガス・ジャパンタイムズ」でも、毎日ニュースで入ってくる難しい医療情報を分かりやすく日本語で伝えています。

まず、今アメリカで接種できるワクチンの種類について教えていただきました。

「現在FDA(アメリカ食品医薬品局)で許可されているワクチンは2種類あります。アメリカのファイザー社ドイツのビオンテック社共同開発のワクチン、それとアメリカのモデルナ社ワクチンがあります。この二つの主な特徴は、新技術『mRNAワクチン(遺伝子ワクチン)』となっています。従来のワクチンですと、病原菌をそのまま体に送ったり、病原菌の一部であるタンパク質を免疫細胞に送り、抗体を産出させるというメカニズムですが、今回使われている新技術はピンポイントに必要な情報だけを遺伝子という形で体内に送り、免疫反応を起こさせ抗体を産出するという新技術となっています」

この二つのワクチンに、特に違いはあるのでしょうか?

中川さんによると、「共にこの二つのワクチンは接種が2回必要なのですが、ファイザー社のワクチンは接種1回目の後に21日間隔を開けて2回目を接種します。モデルナ社のワクチンは、1回目接種後28日間隔で2回目の接種となります。有効率については、ファイザー社のものが95%、モデルナ社のものは90%となっていて、対象年齢はファイザー社のものが16歳以上、モデルナ社のものが18歳以上となっています」とのことです。

これまで特殊な冷凍管理が必要で、総合病院など限られた場所にしかなかったファイザー社のワクチンは、FDAから保管条件が緩和され、一般的な医療施設での取り扱いが可能になりました。モデルナ社のワクチンは今も広範囲に、小型施設や薬局で接種できます。

基礎疾患がある場合でも、ワクチンを打つことはできるのでしょうか?

「基礎疾患で、生活習慣病などの持病がある方でも安全に接種していただけるかと思います。ファイザー社、およびモデルナ社の治験につきまして、被験者は高齢者がおよそ4割を含み、そのほとんどが持病を持っていたということなので、安全性と共に有効率が高いことも確認されております。ただし、妊婦でありましたり、がん患者、治療中の人については、かかりつけ医者、または専門医のアドバイスが必要となります」

一方、副反応については、接種部位の痛み、疲労、頭痛、発熱などが挙げられていますが、解熱剤や鎮痛剤で、熱を下げたり痛みを軽減したりすることは認められています。また、「アナフィラキシー」と呼ばれる重いアレルギー反応がまれに起こることが報告されていますが、会場では接種後に15分から20分待機することが義務付けられており、反応が起きても対応できる体制になっています。

では、ワクチンの持続期間はどれくらいなのでしょうか?

「治験の結果では、最低4カ月以上持つのではないかと報告されております」と中川さん。さらに「どれくらい長期的に持つかにつきましては、正式な検討は『分からない』ということが報告されております。ただしワクチンを接種することによって、発症率が大幅に低減されることが報告されています。ファイザー社ワクチンですと発症率がおよそ10分の1となることが報告されています。また仮に感染したとしても重症化を防ぎ、医療従事者、医療機関の負担を大幅に軽減する期待が見込まれています」と説明してくれました。

新型コロナが変異し、それぞれイギリス、南アフリカ、ブラジルで確認された三つの変異株が登場しましたが、それらの変異株に対して効果はあるのでしょうか?

「イギリスの変異株に対してはある程度の有効率があると考えられています。しかしながら、新たに登場したブラジルの変異株、南アフリカの変異株につきましては、軽減するという見込みがなされています。具体的な数字につきましては、今後の研究結果に注目していきたいと思います」

実際にワクチンを受ける場合、どこにアクセスをするのか。そして、接種にお金はかかるのでしょうか?

「政府が公的補助をしておりますので、ワクチン接種希望者は無料で接種を受けることが可能となります。また、自分がいつどのようなタイミングで接種できるかについては各州の保健局ウェブサイトで確認することが一番信頼できるかと思います」

各接種会場が事前に用意するワクチンの数を把握する必要があるため、「完全予約制」になっています。

注意点としては、「今回、ワクチンを接種しますと、CDC(米疾病予防管理センター)発行の接種記録表というのをもらいます。こちらの記録表は接種をした証明書でもあるので、十分保管しておいていただきたいと思います。また、2回目の予約の時にお忘れなく、提示していただくこととなります。こちらは証明書にもなりますので、気をつけて保管していただきたいと思います」とのことです。

ワクチンを打った後の感染対策はどうなのでしょうか?

「そもそもワクチンは発症を抑えるためでもありますし、決して感染をゼロにするものでもありません。また変異株に対しての懸念もあります。引き続きマスクの着用とソーシャルディスタンスの確保が必要となっております」

CDCは、皆さんのご自宅の近くにあるワクチンを「Zipコード」で検索できるウェブサイトを新しく立ち上げました。参考にしてみてください。

1回の接種で済むジョンソン&ジョンソン社のワクチンがFDAの許可が降り次第、3月から供給される見込みです。

ワクチンファインダー
https://vaccinefinder.org


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